※ 報告者のお二人です。 お疲れさまでした。 (^o^)
こんにちは。7月28日の公共サービス研究会について報告します。今回
のテーマは「保育園民営化」でした。参加人数は15、6名ほど。身近な問
題ともあって、非常に活発な議論ができました。
報告者はお二人。まず、小竹広子さんからは、「5.22横浜地裁判決」
と、「保育園民営化とは何か」ということについてお話しいただきました。
横浜市では条例により、2004年に4つの保育園が民営化されました。
この4保育園では職員が総入れ替えされ、その後、子どもが怪我するなど、
事故が多発しました。このような事態をうけて、4園の保護者らは市を相手
取り、条例の取消と、民営化によって受けた精神的苦痛への損害賠償をもと
めて、訴訟をおこしていました。
今年5月22日の横浜地裁判決では、民営化自体を違法とできなかったも
のの、行政の「拙速な民営化」を違法とする判決を勝ちとりました。また、
児童・保護者らの保育を受ける権利を「法律上保護された利益」と認定させ
たという点でも意義がある、と小竹さんは話していました。
また、小竹さんからは、保育園民営化そのものの問題点についてもお話い
ただきました。とくに、行政はこれまでのような画一的な保育サービスでは
なく、「ニーズにあった多様なサービスを提供」するために民営化すると主
張しているが、それは疑わしいとおっしゃていました。
「多様なサービス」とは、夜間保育・休日保育・幼児保育のような保育サ
ービスや、「バウチャー制」のように、親が経済力にみあった「自由な」保
育園選択のできる制度のことを指しています。行政は、民営化すれば、こう
したサービスを実現できる、と主張しています。
ですが、小竹さんは「夜間保育はたしかに親にとっては便利だが、長時
間、親と離れていなくてはならない子どもにとってはどうなのか?」「親に
は見えない、子どもの感性を育てるということも意識しなくてはならない」
とおっしゃっていました。また、「バウチャー制」については、所得によっ
て保育格差が生まれてしまい、保育の頃から社会階層が固定化される危険性
がある、と指摘していました。
※ バウチャー制については、報告その1(あんどう記)をご覧ください。
もう一人の報告者、宮下智行さんからは、練馬区の保育園民営化の現状に
ついて、お話いただきました。練馬区では、2005年12月から公設民営
(民間委託)というかたちで保育園民営化が進められてきました。とくに、
宮下さんの関わっていらっしゃる光ヶ丘第八保育園は、「ピジョン」という
育児用品メーカーに運営が委託されました。
お話によると、民営化されてから半年間で、園長をふくむ14名が退職し
たそうです。そのうちほどんどが、朝6時〜夜9時勤務など、劣悪な労働条
件のなかで体をこわして辞めていったそうです。
報告のなかで、「ピジョン」の保育士募集広告をみせていただいたのです
が、「時給850円」「即日勤務可能な方」など、保育の質を保つのに「本
当に大丈夫か?」と一目で不安になってしまうような内容でした。
質疑のなかで、小竹さんも宮下さんもおっしゃっていたのですが、民間で
はコスト削減のために、若い保育士を雇う傾向にあり、しかも年契約で雇う
(園長さえ!)のが一般的だそうです。そうなると、ベテラン保育士が育た
なくなり、結果として保育の質が低下してしまいます。こうしたお話を聞く
なかで、行政言う「ニーズにあった多様なサービス」って一体何なの?と、
あらためて考えさせられました。
働く人にも、多くの利用者にも犠牲を強いる保育園民営化に反対!
くりはら記
なぜ、未来を背負う子どもたちを一番に考えないか疑問です。