2009年01月21日

ラ・ポスト民営化

b.JPGa.JPGラ・ポスト民営化
市民の取り組むべき問題

2008年7月:民営化の発表


 7月初めに、フランス郵政公社ラ・ポストのバイイ総裁が、ラ・ポストの株式放出を発表しました。つまりラ・ポストの上場、民営化です。当初は株式の一部だけですが、政府の財政上の必要に応じて、徐々に拡大されていくことになります。
 スケジュールとしては、この冬に下院で法律を可決、2010年には事業形態を株式会社に変更、2011年には上場、が予定されています。

なぜ公共サービス?

 7月初めに発表され、夏の間じゅう経済危機が起こるまで中心的なテーマとなっていた民営化は、多くの問題を提起するものです。経済危機が起こったことで、特に公共サービスの継続などの論点に関して、私たちの主張はいっそう補強されました。連邦住宅公庫フレディ・マックやファニー・メイ、保険最大手AIGといったアメリカの大企業が大きな痛手を受け、ウルトラリベラルなブッシュでさえ、国有化という形で介入せざるを得なかったのが、いい証拠です。大手で古参の投資銀行の一つ、リーマン・ブラザースは消滅しました。郵政公社がもし民営化されれば、同じ運命をたどることは十分あり得るのではないでしょうか。今日、私たちが体験しているような危機を考えるなら、資本主義の浮き沈みに翻弄されないような、しっかりした公共サービスがなおさら必要ではないでしょうか。いちばん大事な論点は、市場に左右されない公共サービスというものが作り出されたのは、それが市場に左右されるような事態はまさに想定外だからだ、ということです。

 経済の現場に目を転じてみましょう。郵便物のない国が、いったいどうやって回るものでしょうか。他の何がなくなっても支えとして残るもの、それが公共サービスではないでしょうか。現在、農村部で起きていることが、全国で起きることになるかもしれません。公共サービスがなくなれば、国はもはや回りません。

 電気・ガスや郵便など一部の分野においては、財界の意向よりもネオリベのイデオロギーが、民営化の推進力となっています。電気・ガスの民営化に関し、ドイツやフランスでは、料金引き上げにつながったことが財界の不満を呼びました。他方、政治家と公社幹部にとっては、おいしい話です。新たに設立された企業に、どんどん天下りできるからです。

 1990年代半ばに、フランス・テレコムの民営化への反対運動を展開し、電気・ガスについても運動を始めたものの、ネオリベの民営化の進展を食い止めることはできませんでした。しかし、今日では状況が変わっています。公共サービス網の代表格であるラ・ポストは、もはや郵便局と学校しか残されていないような農村部では、公共サービスの代名詞となっています。ラ・ポストは、よく「貧乏人の銀行」と見下した言い方をされます。銀行では客にしてもらえない貧困層でも、振替口座や貯蓄口座を開設できるからです。要するにラ・ポストは、日本その他の場合と同じように、単に郵便受けに郵便物を入れる配達屋にとどまるものではないのです。

2008年7月・11月:最初の運動

 2010年に株式放出、この冬に下院で法案可決というスケジュールとなれば、抵抗運動を組織する時間的な余裕はあります。

 近年あちこちで公共サービスを守ろうとする共闘組織が広がり、その中でラ・ポストは、死守すべきもののシンボルになっています。2005年3月にはフランス中部の山あいのゲレという小さな町で、雪が降るなか7000人以上がデモに集まりました。ゲレが県庁所在地となっているクルーズ県では、2004年10月23日に、県内の多くの村で郵便局が閉鎖されることに抗議して、市長、県会議員など、左派・右派あわせて263人の公選公職者が辞職しています。クルーズ県の共闘組織はこの夏に再び盛り上がりを見せ、ネオリベの行く手を阻むために開始された運動の担い手となっています。

 これらの共闘組織に加わり、積極的に活動しているのは、労組の連合組織ソリデールのほか、左派政党、ATTACのような団体、消費者団体、そして市民たちです。

 地方の共闘組織に加え全国レベルでも、共産党系のCGT(労働総同盟)、SUD(連体・統一・民主労組)系のソリデール、社会党系のFO(労働者の力)、カトリック系のCFTC(フランス・キリスト教労働者総同盟)、農民連盟、公務員組合のFSU(統一労組連盟)といった労働組合、PS(社会党)、PCF(共産党)、NPA(反資本主義新党)、緑の党、左派急進党、リバタリアン・オルタナティヴ党、LCR(革命的共産主義者同盟)、オルタナティヴ党といった左派政党、ATTAC、コペルニク、消費者団体、人権連盟、住居を得る権利、欧州行進、世俗派家族連合、全国抵抗評議会、全国年金生活者連合といった団体からなる共闘組織が結成され、ビラ撒きや署名運動を重ねながら、11月22日の大規模デモに向けて、呼びかけを行っています。

 SUD系の郵政労組である私たちSUD−PTTは、即座に郵政労働者の全組合に呼びかけました。ソリデールが支援している市民の運動を、郵政内部での運動を構築することで補強するためです。

 こうして労働総同盟、SUD−PTT、カトリック系のCFDT(フランス民主労働総同盟)とキリスト教労働者総同盟、労働者の力といった組織の参加の下に、労組間の連絡組織が立ち上げられ、9月23日のストを呼びかけました。ところが会合を重ねるうちに、闘いは民主労働総同盟ぬきでやることになるだろうという展望が明らかになりました。SUD−PTT系、労働総同盟系、労働者の力系、キリスト教労働者総同盟系の郵政組合を含めた全国組織が国民投票を主張しているのに対して、民主労働総同盟は、国会審議の必要性を主張しているからです。70%以上のフランス人が民営化に反対している以上、闘いの基盤は、当然サルコジの号令に従う右派が過半数を占める国会議員ではなく、こうした民意に置くべきです。国会審議という主張の意味は見え透いています。要は民営化賛同という、郵政労働者に申し開きのできない姿勢の表れでしかありません。

 民主労働総同盟の脱落は別に意外ではありません。もっと重大なのは、労働総同盟がこの闘いにあまり身を入れていないことです。 EDF-GDF(電気・ガス公社)民営化の際も、この労組の幹部は、SUDや労働者の力が呼びかけた連続ストの拠点に来て、ストの中止を呼びかけました。今回そこまではやろうとしていないにしても、どうしようもなく消極的です。ラ・ポストで最大の組合である労働総同盟の立ち位置が、運動に波紋を投じています。労働総同盟は電気・ガスの時よりも困難な立場に置かれています。電気・ガスでは53%以上の多数派だったのに対して、ラ・ポストでは最大組合といっても33%で、過半数には至っていないからです。

 ですからラ・ポストでは、重要で決意も固い組合は、23%のSUD−PTT、17%の労働者の力、5%のキリスト教労働者総同盟です。郵政労働者の40%が参加した今回のストは歴史的な成功でした。この参加率は、1995年の年金に関する社会運動の時よりも高く、また1974年の歴史的なストの時と同じレベルです。74年のストは、45日にわたって続き、郵政事業と電気通信事業の分割を中止に追い込みました。分割が実施されたのは15年後のことになります。

 次の節目は11月22日土曜日です。重要なのは、すでに通告済みのストよりも、全国共闘組織と、関係する全組織の呼びかけにより、フランス全土で実施されるデモの方です。

民営化と経済危機

 その後に状況が変わったことは言うまでもありません。資本主義は7月初めから、誰もが極めて重大だと認識する危機に陥っています。ウルトラリベラルの最強硬派でさえ、つい昨日までの思想を棚上げにして、国家の介入を要求しています。上場企業のほとんどを襲った今回の危機で、ラ・ポストについても事情が変わりました。210億ユーロ(2兆5000億円)の売上高で9億4000万ユーロ(1200億円)の収益では、投資家が要求する資本収益率にはほど遠く、これだけでも民営化は困難です。

 郵政公共サービスを守ろうとするキャンペーン運動は、今回の危機で他にも強力な論拠を得て、さらに広がりを見せています。郵政サービスを市場に、それも見るからに病んでいるのに治療薬が見つかっていない市場に、委ねることなどできるものでしょうか。銀行が、ソシエテ・ジェネラルのような老舗の資本制銀行も、貯蓄金庫やクレディ・アグリコルのような最近上場したばかりの共済銀行も、迷走状態にあるなかで、2000万人の顧客を持ち、貯蓄口座を擁するラ・ポストの金融事業を、証券市場に委ねることなどできるものでしょうか。こうした難題に直面したサルコジとしては、ラ・ポストの将来に関する戦略をもちろん変えないまま、時間稼ぎをしたいところです。

 というわけで彼が11月2日に大統領顧問の口から言わせたのは、この金融危機が終息しない限りはラ・ポストの民営化も事業形態の変更も考えないということでした。その2日後、この同じ顧問が前言を撤回したことで、事態は混迷を深めています。いずれにせよ、経済状況がカギであり、事業形態変更の唯一の目的が民営化にあることは明らかです。予定された民営化スケジュールを見る限り、サルコジは依然として2010年に、それまでに金融危機が終息していればですが、事業形態の変更を実施するつもりでしょう。11月3日月曜日のフランス各紙は、左派右派を問わずいずれも、そういう方向で報じています。

 とはいえ、SUD−PTTとソリデールにとって、運動の続行が最重要課題であることに変わりはありません。経済状況が許すようになればすぐさまネオリベの教義を復活させようと、フランスの指導層が手ぐすね引いて待ちかまえているのは、見るからに明らかなのですから。

posted by クッタア at 00:51| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
Posted by 履歴書の封筒 at 2011年11月24日 19:44
運命ってことば信じてる?私は信じてる。言葉にすると乙女過ぎて笑えるけどそういう感覚ってない?「あっ、この人と結婚するな」とか相手との結婚生活のビジョンが見えたり。そういうのって運命ってことじゃないかなぁって私は思ってる。だから一期一会大事にしていくつもり
Posted by 出 会 い at 2012年01月19日 03:28
ここではあなたが物語の主人公です。あなた視点で物語は進行していきます。実際に体験してもらうんです!
Posted by どきんちゃんメール at 2012年02月17日 08:20
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Posted by 光速掲示板 at 2012年03月07日 04:05
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Excerpt: 何気なくネット見ていたら郵便局の関連する記事を見つけました。私もコレ見て参考に...
Weblog: 郵便局
Tracked: 2009-01-21 17:57
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